幸せな奴。

気づくとゆるゆると口の上を彼の指がなぞっていた。

休日の朝、人が起きるまでそんなことしてたのかと思うと、
嬉しいやら呆れるやら。

昨日の時点で二度寝をするつもりだったので、
当然のようにベッドに潜った。

その上から「かまって」と声が聞こえたが無視。
していたら、上に重みが。

ゆらゆらと揺れていたがそのまま。
私は寝るのだ。

しばらくすると諦めたらしく、見も軽くなった。
私も穏やかに二度寝についた。

起きると、目の前に彼の腰があった。
ベッドに半身を入れて体を起こす形で本を読んでいた。

何してんのかと聞いたら
「寝息をBGMにやらしい小説を読んでいました」と
要らない告白をされる。

心底どうでもいい気がして、ベッドから起きた。

顔を洗って着替えて、
台所に行くと、私の分の朝食がラップをかけられた状態で冷蔵庫にあった。

私が作った覚えがないから、彼が作ったのだ。

聞くと朝作ったらしい。
「ああ、一緒に食べたかったのね」とその時気づいた。
謝るのもなんだか申し訳なくて、
ありがとうと言って、感謝いっぱいに頂いた。

私が食べていると、本を持った彼がベッドから食卓に移動してきた。
珈琲を入れて私の斜め横に座る。

私は黙々と食べ、彼はその様子をじっと見ていた。
こんなふうに見られるのはよくあることなので何の違和感もなくなっていたが、
何が楽しいのかはまったくわからない。

朝食をスルーされ、二度寝され、それでもニコニコしてる。
もっと要求を言ってもいいのではないかと思いながらも、
かと言ってなにもしない私といて、この人はほんとにいいのだろうか。

思案にふけっていると、彼が笑った。
「何?どうしたの?」と聞くと
「君を距離で観察できるのが、楽しくって」というので、
なんて甘いことをいうのだ!と叫ぼうとしたら

目が覚めた。
全部夢だった。
いい夢だった。私は幸せだ。

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